ピルの英語表記はpillです。pillは元々錠剤、丸薬という意味です。本来、抗生物質も高血圧の薬も“pill”です。“the pill” “the pills”と定冠詞が付くと経口避妊薬を指します。
日本では「ピル」というと女性ホルモンの含まれた錠剤を指します。ピルの代わりにOCやLEPと表現する事もあります。( OC=oral contraceptives, LEP=low estrogen pills )
ここでは低用量ピルの仕組みについて説明します。
低用量ピルには女性ホルモンを調節する働きがあります。1日1錠服用する事で体内のホルモンを、妊娠と同じ状態にコントロールする仕組みです。生まれながらに備わっている「妊娠している間は排卵しない」という体の仕組みを利用するので、高い避妊率を達成できるのです。例えば、当院で扱っている製品を指示通りに服用した場合、妊娠する確率は0%です。
ピルの仕組みを理解していれば、低用量ピル服用開始直後にみられる体への影響は、妊娠に伴う体への影響と酷似することも容易に理解できます。低用量ピルをスタートすると数十人に一人くらいの割合で、吐き気、だるさ、頭痛などを感じる事があります。これはいわゆる「つわり(悪阻)」と全く同じ現象です。なぜ妊娠するとつわりが出現するのかについては十分に解明されていませんが、少なくとも、つわり自体は異常とはみなされていません。つわりは妊娠の経過と共に例外なく消えます。それと同様に、低用量ピル開始直後にみられる不具合は、時間と共に必ず消えます。また、ピルによる不快な症状の発現率は、つわりに比べると格段に低いです。
妊娠している女性の肌がキレイな事はよく知られています。同じ仕組みで、ある種の低用量ピルを用いると、肌荒れやニキビなどが著明に改善します。ここで気をつけなければならないのは、すべてのピルが肌に効くわけではない、という事です。服用する事で肌荒れが悪化する製品も存在します。当院で扱っている製品の場合、3ヶ月以内に95%以上の割合で、肌荒れ、ニキビが改善します。