乳ガンについで頻度の高い悪性腫瘍です
日本では、まだまだ一般的ではない子宮ガン検診。 その有効性と意義は先進諸国では広く認識されています。
子宮ガンには2種類あります。子宮頸部(子宮の入り口)にできる子宮頸がん(子宮頸癌)と、子宮体部(子宮の奥の部分)にできる子宮体がん(子宮体癌)です。同じ「子宮」ですが、それぞれ異なった組織から発生するのでこれら二つのがんは全く違うものです。発生する場所や原因だけでなく、発生しやすい年代も異なります。 ただ幸いなことに、子宮ガンはスクリーニング(がん検診)の方法と有効性が確立されています。早期発見、早期治療が可能なのです。定期的に検査すれば、子宮がんは死に至る病ではありません。
子宮頸がんは20,30代から増えはじめますが、初期では自覚症状はありません。 子宮頸部の細胞にヒトパピローマウイルス(HPV human papillomavirus)が感染し、その期間が持続すると細胞は次第に癌細胞へと変化していきます。この時点(上皮内がんあるいは前癌病変)で治療すれば、ほぼ100%治癒が見込めます。初期の段階では症状はありませんから、治療可能な段階で発見するには、定期的にチェックする必要があります。症状が出てから治療を開始しても、治療成績は大きく落ちます。2010年、日本でもHPVワクチンが発売されました。当院でも接種しています。
「ガン検査」というと大掛かりなイメージがあるかもしれませんが、子宮頸癌検査(子宮頸部細胞診)は数十秒程度で終わり、ほとんどの場合痛みもありません。子宮頚部、子宮膣部を綿棒でこすって細胞を集め、顕微鏡を使って異常な細胞をみつけだします。 2001年に厚生労働省が行った調査では、日本において子宮頸癌検診を受けている女性はわずか22%でした。一方、米国における18~45歳女性の最近3年以内の検診受診率は89%であり、韓国、台湾でも65%以上を達成しつつあります。
40歳代から増え始め50~60歳代で最も多くなります。子宮体がんも、初期は無症状ですが、「月経以外に出血がある」「閉経後に不正出血がある」といった場合は、子宮体がんを疑う必要があります。体がん検査の場合は、子宮頸部から細い器具を挿入して子宮内膜の細胞を採取します
日本の患者発生数でいうと、子宮頸がんは10人/10万人/年、子宮体がんは4人/10万人/年です。ちなみに、乳がんは34人/10万人/年です。 ただ、がんは自然に治るものではありませんし、ある一定の確率で発生してしまいます。がんに罹る確率をゼロにはできませんが、定期検診を受けていれば、がんで死ぬ確率を減らすことができます。